2008年12月 7日 (日)

パンデミック

新型インフルエンザの流行が迫っているようです。
鳥インフルエンザウイルスが突然変異して、感染力の非常に強い強力なインフルエンザウイルスとなり、爆発的に流行してしまい(世界的大流行 パンデミック)、多数の死者が発生してしまうようです。ある試算では、65万人近くの死亡者がでる可能性があります。
パンデミックに対する対策としては、発生した段階でできる限り外出をしない、抗インフルエンザウイルス薬(タミフル等)を投与することが考えられます。
弁護士の仕事は、裁判所に行かざるを得ないので、どのように対策しようか今思案をしています。裁判所は、裁判員制度にかかりきりで対策をどうするのか(裁判期日をどのように開いていくのか等)何も表明されていないので、自分で自衛するしかないです。そこで三つの対策を行うことを考えています。一つは、自宅勤務をできる限り行えるようにする、具体的には事件記録の電子化を行おうと思います。インターネットディスクなどを使い、ネットを用いて記録にアクセスできるようにし、自宅での起案や書面処理をできるようにすることです。これは新たな事件から始めていきたいと思います。次に、自宅にタミフルの備蓄を始めようと思います。これは医療関係者にアドバイスをいただいて進めていきます。そして、食料、水の備蓄を始めようと思います。水については、透過膜方式の浄水器を備え、雨水を純水に変える備えをすることも考えています。これは地震などのときの傷の消毒にも使えるものです。
いずれにしても、対策をしないまま新型ウイルスを迎えるのでなくできうる限りの対策を進めていきたいと思います。

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2008年8月27日 (水)

病院は勤務医を守ってくれるのか

勤務医が医事紛争に巻き込まれた場合、その勤務先の病院は勤務医をサポートしてくれるのでしょうか。最近、何人かの勤務医の先生と話をしていると、いざというとき病院は守ってくれなさそうだし、まずもって顧問弁護士にすぐに相談できそうな体制でもないし、顧問弁護士に相談しても、様子を見なさいといわれて、具体的な対応策を提示してくれない等の不満を聞きました。病院は病院で組織として対応するので、経営の観点から、勤務医をスケープゴードにして紛争を処理してしまうこともあり得ると思います。そのときに病院の顧問弁護士に相談しても、病院の弁護士ですから、病院の立場からどうなるかという発想で対応することになり、病院の立場から指示などをする可能性があり得ます。もちろん、勤務医の相談を受ける場合に、病院の立場で相談を受けること、病院と利益相反となった場合には、相談や受任はできないことを明言して相談を受けるべきだと思いますが、その辺は曖昧になっているところもあるかも知れません。
いずれにしても、このような場合、全面的に自分の味方になってくれる弁護士に相談する方が賢明です。弁護士会へ行けば弁護士に簡単に相談することができますし、またインターネット上で相談申込みを受け付けている事務所もありますので相談することも一つの手であると思います。
万全を期すならば、備えておくのであれば、個人的に顧問弁護士をつけておくことも一つの手です。多少費用は係りますが、いざというときに迅速な相談対応をしてもらえるので、セーフティネットの一つとして検討されるのも手です。うちの事務所でも安価で勤務医向けの顧問契約を準備しております。
もう一つ、余り教えたくないのですが(笑)、奥の手をお教えいたしましょう。
それは、普段から弁護士と仲良くなっておくことです。弁護士、特に医療関係紛争に携わる弁護士は、患者側、医師側どちらに立つにしても、様々な医師との関係を築いておいて、意見を聞ける関係を維持したいと思っているでしょう。
そこにつけ込んで(笑)、普段から知人、友人関係になっておくと、気軽に相談できることになり、事実上顧問弁護士を得たのと一緒です。回りを見渡して、弁護士がいないか、医療関係をやっている弁護士がいないかをチェックして、勉強会、研究会、呑み会でもいいですから何らかの交流を持ってみてはいかがでしょうか。
もちろん、私にご連絡いただくのでも結構ですが(笑)

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2008年8月21日 (木)

福島県大野事件判決

福島県立大野病院の事件の判決が出ました。この事件は、癒着胎盤だった女性の帝王切開手術を行って、出産後、子宮に癒着した胎盤をはがし続け、出血で女性を死亡させたとして、主治医が業務上過失致死で起訴された事件です。
これに対して、裁判所は無罪の判決を下しました。
医師には診療するにあたって、医療水準に基づいて行う注意義務がありますが、今回のケースは、医療水準からして、対処しきれないやむを得ないものだったようです。したがって、ご遺族にはお気の毒でしょうが、法的責任(民事及び刑事)を問えないものではないかと思われます。転医させていればという問題もあるかもしれませんが、転医義務自体も果たせ得なかった状況だったと考えているのであれば(判決がまだ公表されていないのでその点は留保しますが)、やはり法的責任を問うことはできなかっただろうと思います。
医学にしても、法律学にしてもすべての問題をカバーしうることはなく、できることはほんのわずかなことです。しかし、あたかも万能であるかのように思われているところがあります。できることを失敗してしまった場合に責任を問われるのは当然ですが、結果が出なければすべて責任が問われるとされるのでは、医師も弁護士も仕事ができなくなってしまいます。医学上不可能な場合に不幸な結果が出た場合は、責任を問うのではなく、それに伴って生じた損害を社会全体で負担しうるようなシステムを作ることが肝要かと思われます。

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2008年8月19日 (火)

何で医事紛争をよく手がけているのか

私の事務所では、医療機関が関係する事件、医療過誤、医療機関内での労働問題などを取り扱うことがよくあります。積極的にえり好みしている訳ではないのですが、医療機関の顧問弁護士をしていたり、医師を友人や知人に持っていたりすると、得てしてそのような事件をすることが多くなるのでしょう。
でも、一番の理由は、私自身、医学に対し強い関心があるからかもしれません。弁護士になろうと考えたのは、大学の法学部に入学してからでしたが、高校時代は、心理学者か医師、しかも精神科医になろうと思っていました。人の心は不思議の塊であり、それを解明しようとする心理学や精神医学に興味を持っていた高校生でした。しかし、その志は能力等に阻まれて、結局として法学部に進学し、手に職をということで弁護士になってしまいました。
しかし、弁護士になってからも、やはり心理学や精神医学には関心があり、心理学とはいえないのですが、コーチングの勉強をし、資格を取って現役のコーチとして活動しているのもその志望の残滓があるからなのでしょう。そういうわけで、医学に関わる事件は自分の強い興味もあり、磁石が砂鉄を吸い寄せるように(どちらが磁石か砂鉄かはさておき)、扱うことが多くなってきたのだと思います。
依頼者(医療側、被害者側問わず)の方には不謹慎と思われるかもしれないので、申し訳ないのですが、医療関係の事件は知的好奇心を非常に刺激されます。通常の事件(不動産の明け渡しや貸金請求など)に比べると非常に時間がかかり、しかも費用もかかる(医学書は大変高く、しかも本好きの私はできる限り買いそろえたいと思ってしまう)、協力してくれるお医者さんを捜すのに苦労する、等々苦労の連続ですが、それでも受けてしまうのです。
神経医学の用語に報酬系という言葉があります。報酬系とは、脳において欲求が満たされたときに活性化し、心地よい気分を与える神経系のことですが、私の場合、この報酬系が活性化するのは、まさしく知的好奇心なのだと思います。これからも苦労はするけれども知的好奇心が満たされる事件を追い求めて行くのでしょう。事務所の経営的には良くないのでしょうけれど。

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2008年7月25日 (金)

医療事故に対する弁護士の関与

医療事故はできる限り発生を避けるべきであり、避けるための英知を結集すべきであるが、医学的論拠なくして、感情的に医師の責任を追及をすることは許されないし、何も解決にならない。
医療事故に遭われた方の大変さは、医療過誤訴訟を受任している私も本当によくわかっているが、だからといって、医学的根拠を詰めた検討をしないまま民事訴訟をしてはならない。患者さんにとっても、無駄な裁判を抱え込んでしまうという意味で経済的精神的にさらなる苦痛を強いられることになるし、誠実に治療を行ってきた医師に対しても経済的精神的なダメージを与えてしまうことになる。
しかし、残念ながら、弁護士人口の増大で、医療過誤分野についても医学的根拠が乏しい民事訴訟の提起が増える可能性がある。着手金ねらいで無理な訴訟が増えると思われる。現に、医療過誤訴訟の分野でも、なぜこのような訴訟を起こしてくるのかと疑問に思う訴訟が増えているように思われる。
医療機関は、医療過誤を発生させないだけではなく、医療過誤ではないのに医療過誤と誤解されるような事態を避けるような、たとえば患者さんとのコミュニケーションの充実等をしていく必要が自衛手段として求められるであろう。
もちろん、注意義務違反が明らかなケースも少なくない。これらについては法的責任を追及して、患者さんの権利救済をしていくために弁護士は奮闘しなければならない。

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医療安全調査委員会

厚生労働省は、医療死亡事故原因究明を行う第三者機関として医療安全委員会(仮)を設置しようとしている。これは、医療過誤か合理的説明がつかない死亡事故について、調査を行い、医療機関は調査委員会への通報を義務づける。
しかし、これには問題がある。調査の過程で故意や重大な過失、過失事故の繰り返し、診療録の改ざんなどがあった場合は、委員会から捜査機関へ通知を行うという点だ。上記のように通報義務が課せられるにもかかわらず捜査の端緒になってしまう可能性があるのは、刑事責任に関して、言いたくないことは言わなくてもいいという黙秘権の侵害となるのではないか。厚生労働省は、医療関係者の責任を追及するものではないとして、謙抑性を強調するが、当てにできるものではない。黙秘権を確保できないのであれば、刑事責任追及に調査報告を使ってはいけない。
第三次試案については、医師会や医学関係の学会などで議論となっており、内科学会などでは大筋で賛成しているが、現場にたつ医師たちの意見が通っているのであろうか。弁護士の場合の日弁連と同じように、現場の声が反映されていないのではないか。
我々弁護士は、あまりこの医療事故調査委員会に意識を向けていないが、かような重大な法的問題がある以上、法律専門家としてもっと注目し、意見していくべきではないかと思う。

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2008年7月22日 (火)

応召義務

医師には、応召義務がある。医師法19条1項には、診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならないとされており、診療の求めがあった場合には、原則として応じなければいけない。これに応じなければ、民事上の損害賠償請求がなされることになる。ちなみに、弁護士には応召義務はなく、自分に合った事件なのか否か、また依頼者との相性などを勘案して受任することができる。
ところが、最近、患者が診療報酬を払わなかったりする事案や、医者に対して暴言を吐いたり、暴力をふるったり事案が増えている。かような問題のある患者に対して、医師は診療を拒否することができるであろうか。裁判所の判決も少ない分野であるが、医師法19条1項との関係では、即座に拒否をすることが許されるか問題ではある。少なくとも治療費が不払いだからといって診療しない場合は、正当理由なしとされる可能性が高いであろう。
では、医師は不払いでも、殴られても治療しなければいけないのであろうか。それはあまりにも理不尽である。医師法19条1項には正当理由があれば、応召義務がないことになるが、正当理由というのは不明確であり、あまり判例が蓄積されていないところでもある。
そこで、対応策として考えられるのは、治療費不払いについては果敢に請求をし、支払わなければ民事訴訟などの法的対応も辞さないといった強硬な対応が勧められる。また、暴力患者については、民事保全法による接近禁止の仮処分などの法的手段を用い、患者側が法的に接近できないような処置をも考えられる。
ただ、このような対応を医師自身にさせるのは、貴重な人的資源の浪費でしかない。しかし、多くの病院では問題患者に対して、医師に対応させているようだ。
このようなときにこそ、紛争処理の専門家である弁護士に依頼をすべきだと思われる。
この国のマスメディアは、救急治療のたらい回し(これもかなり誤解のある表現であり、受け入れられない理由は、法律家の立場からすれば、十分聞くに値することが多い)ばかり報道しないで、かような医療を受ける側の問題点も指摘していくべきであろう。

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